文学って言うな!

「エロゲやラノベは文学とは別個のジャンルであり、けっして劣るものではない」とか「Fateを文学と呼ぶのはエロゲに対する侮辱だ」とか「Fateは文学」コピぺ関連の記事を見るとものすごい勢いで頭がフットーして、噛み付きまくりたい気分になってしまいます。主張そのものには、ほぼ全面的に賛同するのですが、「今その主張をするの?」ってところに、どうしようもなく違和感があるのです。
まず第一には、「文学」という言葉の使われ方が気になります。辞書的な意味でいけば、ラノベは文学の一ジャンルだし、広義に捉えるならばエロゲだって文学でしょう。ケータイ小説もそうだし、戯曲なんて文学の中心に位置するジャンルです。文学をラノベ・エロゲの対立概念にするのは無茶。
こういう場合の「文学」は、小説の一ジャンルとしての「純文学」をさしているわけですが、このラノベエロゲ連合VS純文学という対立構造には、やりきれないものを感じます。そんなのただの弱いものいじめじゃん。
そもそも、「文学に比べてラノベやエロゲは劣った表現だ」というのが一般的な意見としてあるかのように書かれていますが、僕はそんな主張は聞いたことがありません(12月9日:あったw とくに面白みはないのでリンクとははしないでおきます)。もはや、人気・売り上げ・社会的影響力ともに、純文学にラノベほどの力はないでしょう。
とくに、ネット界隈だと、

ラノベ作家になりたい=夢があっていいね! 応援するよ!
純文学作家になりたい=暗い、キモイ、性格が悪そうだから近寄りたくない

とかそんな感じじゃないですか? ストレートに、ラノベ・エロゲを純文学なんて流行らない気持ち悪いものと一緒にするなって言われるならばまだいいんですが、実情を無視してほめ殺しにされると、胃にもたれるというか、真綿で首を絞められるというか…。ラノベもエロゲも純文学も好きなマイノリティーは、そのうち集団リンチで抹殺されるんじゃないかとかそんな印象を抱いてしまう。
ラノベやエロゲが純文学の出来損ないではないのと同じように、純文学だって破壊すべき旧世代の遺物なんかじゃないと思うわけです。