スズキヒサシ『タザリア王国物語』1〜3巻 電撃文庫

かっぱらいで何とか生きてきた孤児ジグリットは、皇子・ジューヌと瓜二つの外見を持っていたことから影武者として育てられることになる。
宮中の陰謀劇、周辺諸勢力との政治問題に戦争、そして執拗にジグリットを虐待する皇女リネアとの愛憎、と盛りだくさんの内容で、一気に読んでしまいました。気が付いたら朝だった状態。
展開が非常に速く(とくに1巻は作中時間で4年を一気にかっとばす)、情勢がころころと変わっていくのは面白いのですが、強引な部分、不自然な設定も多々みられたのが惜しいところ。それと、3巻の終わり方…アレはないです。早く続きを出していただきたいところ。週刊誌ならともかく、書籍で露骨に引きをつくられても困ります。
「脱ライトファンタジー」なんて言葉があるかどうかは知りませんが、こういった適度にリアリティを追求したファンタジーは大好物。オリジナルな宗教が出てきたりするともうたまりません。
前述したように、気になるところもありますが、リアル志向のファンタジーが好きな方ならば確実に読む価値のある、個性と面白さを持った作品です。