上遠野浩平『ブギーポップ・クエスチョン沈黙ピラミッド』電撃文庫

ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド (電撃文庫)

一人では苦しくても、三人なら耐えられる？　いや、仲間と一緒のほうがもっと苦しいんじゃない？　高校卒業間際の3人の男女と統和機構から追われる3人の合成人間が、3年前の事件をめぐる泥沼にはまるお話。

いきなりわけの分からない会話から始まる。内容も分からなければ、話者も分からない、さらには誰の視点なのかも定かではない。もう、らしすぎるぐらいにブギーポップらしいケレン味たっぷりの始まり方だ。そして、そのまま最後まで上遠野浩平節が続いていく。死と世界だとか、生きることの意味だとか、ともすればセルフパロディに陥りかねないぐらいに「セカイ系」した内容なのだけど、なぜかとても新鮮に感じた。
ブギーポップは昔読んでたけど最近は離れてる、なんて人にぜひ読んでもらいたい一作。