片山憲太郎『紅〜ギロチン〜』スーパーダッシュ文庫

絶世の美7歳児・九鳳院紫とじゃれあいながら、おだやかに暮す紅真九郎のもとに、裏社会の巨大組織・悪宇商会から勧誘の電話が入る。1巻の事件で対立したことで、真九郎の実力を認め、その才能を伸ばすために仲間に引き入れたいというのだ。悪宇商会の人事・ルーシーに乗せられるようにして、契約のためのテストに赴いた真九郎は、そこで一人の少女と出会う。裏十三家のひとつ「斬島」の継承者、斬島切彦――通称、ギロチン。

悩みに悩んでドツボにはまり、最悪の選択をしてしまう主人公の苦悩と、現実と同じなようでどこか歪んだ被害妄想的な世界観が面白かった。両親の死をからかわれる子供時代の回想シーンなどは、読んでいて陰鬱な気持ちにさせられた。戦闘シーンも過剰に血なまぐさく、一言でいってグロい。この陰惨さが、作者の持ち味なのだろう。
主人公がガタガタ震えながら土下座したり、そのことについて後からネチネチと後悔したりと、重苦しい展開が続くので、ちょっと人を選ぶかもしれない。……たまにはヘタレ主人公もいいものですよ?
しかし、もちろん暗いばかりではない。絶望的な状況から、紫の言葉をキーに復活するシーンには、それまでがそれまでだっただけに、かなり燃えた。というか、幼女の愛の力の偉大さに改めて圧倒された。
ダークな雰囲気と日常シーンとのギャップが、独特のエロティックさをかもし出す殺伐ロリーな一冊。



舞台から人物まで、あまりにも西尾維新っぽすぎることをさっぴいても、かなり面白い作品だと思う。