竹宮ゆゆこ『とらドラ・スピンオフ!幸福の桜色トルネード』電撃文庫

大事なことの前には必ず不運な事故にあう不幸体質の一年生・富家幸太。彼はある日、あの生徒会長の妹にして、ほわほわで薄ピンク色な天然フェロモンガール・狩野さくらと出会う。大河&竜児のいつものコンビが登場する短編「不幸の黒猫男伝説」も同時収録。


なぜか6巻の後に読んでますが、本来は4巻と5巻の間に刊行されたもの。6巻の内容ともかぶる部分があるので、観光順に読んだほうが分かりやすかったのかも。でも、6巻は十二分に楽しめたのでとくに後悔はなし。
2巻収録の「幸福の手乗りタイガー伝説」に続いて、主人公は不幸体質の富家幸太。本編と時間軸は重なっているものの、レギュラーキャラはあまり出てこない。ただ幸太が生徒会のメンバーなので、副会長・北村はいつも以上に活躍している。
不幸体質なだけではなく、なんというかいわゆる「空気を読めない」ところがある幸太だが、竹宮ゆゆこマジックによって、憎めない愛すべき人物として描かれている。周りにいたらうっとおしいこと間違いなしなキャラを魅力的に仕立て上げる筆力に完敗。
世をすねたところがあった幸太が、さくらと出会い、好になった女の子ためにどんどん変わっていく。エロい妹の力は偉大。
幸太とさくらのアマアマカップルのほかに、副会長としての北村を知ることができるところ、それにみんなの兄貴こと生徒会長・狩野すみれの人となりも注目ポイントだろう。冒頭でも書いたけど、これを読んでいたら6巻の印象がまた違ってきたんだろうと思った。