虚淵玄『白貌の伝道師』ニトロプラス
- 作者: 虚淵玄,kamiwata
- 出版社/メーカー: Nitroplus
- 発売日: 2004/12/29
- メディア: 単行本
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ニトロプラスの虚淵玄によるダーク・ファンタジー。一般書店向けではなく、コミケや同人ショップなどで販売された同人流通の書籍。現在は、アマゾンやニトロプラスの通販で入手可能です。
陰謀、殺戮、絶望といった黒い言葉がよく似合う血生臭い小説。『指輪物語』のような本格ファンタジー世界で、卑劣な陰謀劇と陰惨な戦闘が繰り広げられる。バトルシーンは武侠小説風で、ハデハデしくもスピーディ。人体がばっさばっさと切り刻まれ、ときには巨大な鉈で肉塊にされたりします。
物語は最後までダークかつハードに進み、それにふさわしい容赦の無いエンディングを迎えます。あまりにもヒドすぎて、むしろハッピーエンドにも見えてくる不思議な終わり方でした。
ただ、虚淵玄がシナリオを書いたPCゲーム――『ファントム』『ヴェドゴニア』『鬼哭街』『沙耶の唄』などと比べると、やや重厚さが不足気味。一冊完結でボリュームが少なく、物理的にも軽いからかもしれない。面白くなりそうなところで、あっさりと読み終わってしまい、もっと苦悩を! もっと血しぶきを! と吸血鬼じみた欲求不満を感じてしまいました。