やはりこの人の会話シーンは楽しい! 『紅 醜悪祭 上』

片山憲太郎『紅 醜悪祭 上』スーパーダッシュ文庫
12月。街にはプラカードを持ったサンタクロースどもがうろつき始め、真九郎もクリスマスのすごし方を考え始めていた。紫と知り合って初めてのクリスマス。プレゼントはどうやって渡そうか? そんな折、幼い女の子から「お姉ちゃんをさがしてください!」と依頼される。


『紅』『紅 ギロチン』に続くシリーズ三作目。
下巻が出たら読もうかなー、と牧歌的なことを考えていたら、下巻も中途半端で切れているという阿鼻叫喚な事態が発生。その後発売された『紅 公式ファンブック』掲載の短編「祭りの後」でいちおうの完結を迎えたようなので、手を付けることに。本当に「いちおう完結」という感じらしいけどさ……。
上記のような事情もあり、マイナスイメージを持って読み始めたのだけど、それが逆に良かったのか文句なしに楽しかった。紫のロリ描写はあいかわらず冴えまくってるし、銀子や夕乃もかわいい。特に銀子かな。お風呂でバッタリは強烈だった。
ときおり挟まれる鬱シーンは…うーん、複雑な気持ちだけど、これを否定したら『紅』という作品全体を否定することになるような気もする。やりすぎ感満載の鬱グロ描写と軽妙な会話とのギャップがこの作品の魅力じゃないだろうか。
しかし、紅香が死んだとか言われても、まったくもってかけらも信じられませんね。信頼感が高すぎてあまり盛り上がらない。あと、やっぱり上巻なだけあって、ストーリーはあまり動きません。敵役にあたる星噛絶奈さんが登場するのは終盤に入ってからで、今回は顔見世程度。もう1シーン欲しかったな。

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