ラノベの「あらすじツール」と赤の女王仮説

■ラノベのあらすじがツールで作られてないか見抜くたった1つの方法

Twitterを見ていたら、ものすごく気になる発言があったので取り急ぎ。

みんなあらすじがツールに依存しててもいいのかー。「お前らはあらすじに金払ってんのかと問うてやりたい。」ってあらすじ参考にして本買う人もいるんだし(自分もその一人)、それが自動生成と知れたら怒ってもいいと思うんだけど。http://tinyurl.com/57m4qf
http://twitter.com/megyumi/status/1056991921

「あらすじツール」なるものの実体がどういうものなのか分からないのだけれど、いつのまにか機械が書いたものを読まされたと考えると、そら恐ろしい気分になる。いまは詳しく調べている時間がないので的外れな部分もあるかもしれないが、ちょっと考えたことをメモっておく。

漫画ファンやラノベファンというのは、「王道」あるいは「お約束」的な展開を求めている部分もある。というか、「王道」に沿っているかどうかかなり重要なポイント。すくなくとも、プロット段階では。そう考えると、創作作業のある程度を機械化・自動化することも不可能ではないだろう。
しかしながら、その「お約束」なり「王道」なりも日々変化していくものだ。今日読者を熱狂させた展開も、明日には陳腐化して猫の引きずってきた何かのような価値のないものになっているかもしれない。
だから、そのツールが「自己進化」の機能を持たないならば、早晩役に立たないものに成り下がってしまうだろう。生物学でいうところの「赤の女王仮説」(Wikipedia)というやつだ。物語がアップトゥデートなものであり続けるためには「全力で走り続けなければならない」。

「赤の女王」とはルイス・キャロルの小説『鏡の国のアリス』に登場する人物で、彼女が作中で発した「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」という台詞から、種・個体・遺伝子が生き残るためには進化し続けなければならないことの比喩として用いられている。
(中略)
生存競争に生き残るためには常に進化し続けることが必要であり、立ち止まるものは絶滅するという点で、赤の女王の台詞の通りなのである。
「赤の女王仮説」(Wikipedia)より

画一的な「正しい」物語りを生み出すツールなど、ラノベ全体を陳腐化させ、衰退させるだけだろう。
ただ、少年ジャンプの「正義・友情・勝利」のように時代を超えて残っていく黄金パターンもあるだろう。また、一部は脚本理論、技法として定着していくだろう。そういった基本的な部分をサポートするだけのツールであるならば、作者・読者ともに利益があるかもしれないし、アイデア出しにツールなりソフトなりの力を借りることを、全否定するつもりはない。
また、WEBなりTVなりから情報を収集し、常に新しいパターンを生み出すツールというのも、実現する可能性はあるだろう。そこまで来ると、ツールなりパソコンなりに「作家性」を認めてもいい。ツールの発想力が人間のそれを超えるのならば、もはや作家など必要ない。だが、個人的にはそんな時代は来ないと信じている。

●追記:
ちょっとググったら、元エントリの増田さんが話題にしたものとおぼしきツールが発見できた。ただ、高額なうえ現在は販売されていないようなので、その正体や仕組みについてはよくわからない。
このツールそのものについては、ラノベ教則本、あるいは情報商材の域をでないものだと感じるが、アイデアプロセッサ的な創作サポートツールは今後も登場してくるだろうし、その問題点なりメリットなりについては考えておいてもいいんじゃないかと思う。
件のツールのURLなどは、いちおう記載しないことにしておく。