『あちら』の世界が現実を侵食する『シフトII』

うえお久光『シフトII』電撃文庫

『あちら』と『こちら』はどんどんと接近していき、学校にまでも争いが侵食してくる。現実と異世界を行き来するRPG風ファンタジー、第二巻。

セラとの恋愛未満な関係に、ミュージィとの過去、さらに学校での揉め事や妙にエロい委員長と盛りだくさんな内容……なんだけど、サブエピソードが充実してるぶんストーリーが進展しないなあ。
前巻で旅に出ることになって、終盤にさしかかってもまだ町周辺の森の中。このまま終わるのか? と思ったら途中経過をすっ飛ばして対決シーンが始まり、新キャラを顔見世して次巻へ。
うーん、シフト世界の謎もおぼろげながら見えて来たのだけど、ストーリーが核心に到達するまで何巻かかるんだろうと考えるともどかしくなる。なんというか「世界はクリアを待っている」と言われても、全くクリアできる気がしない。
読んでる間はめちゃくちゃおもしろいんだけど、どうにもすっきりしない構成だった。今はすぐ3巻を読み始めることができるからいいんだけど、リアルタイムでハードカバーを読んでたら辛かっただろうなあ。でも、この枝葉のこだわりっぷりと描写の密度、動かないストーリーがうえお久光なんよな……って、これ昨日も似たようなこと書いた気がする。

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