邪馬台国は空にあった?『ハルカ 天空の邪馬台国』
- 作者: 桝田省治
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2007/03/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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邪馬台国を舞台にした超古代冒険小説。台湾からの帰化三世で高校生の張政は、ある日、3世紀の日本へと召喚されてしまう。そこで待っていたのは、貧乳でちょっとエロい巫女のハルカと天空の浮島「邪馬台国」、そして血みどろの戦争だった。
ゲームデザイナー・脚本家の桝田省治が、幻に終わった枡田版『天外魔境III NAMIDA』を小説化したもの。『天外魔境III NAMIDA』は、10年近い延期のすえ2005年に発売されているが、設定・シナリオなどは全面差し替えとなっており、この『ハルカ』はあくまで桝田省治が書いたオリジナルバージョンのノベライズということのようだ。『天外魔境』シリーズはプレイしたことがないので、ゲーム作品との関連がどの程度あるのかはよくわからない。
桝田省治は、『リンダ・キューブ』『俺の屍を越えてゆけ』などでもゲームデザイン・シナリオを務めており、個人的には『俺屍』の人というイメージ。RPGなのに、プレイヤーキャラがどんどん寿命で死んで代替わりしていくというのはインパクトが強かった。
で、小説以外のジャンルで活躍してきた人だからか文章はじゃっかん硬く、描写で遊んだりはあまりしない。ただし、簡潔で分かりやすいのでさくさく進めることができ、530ページとかなりの量なのに、厚めの文庫本とそう変わらない時間で読了できた。このあたりは、富野由悠季監督の小説とも近いかも。全体的にエログロ成分が強めなのも富野小説っぽいか。
全体的にちょっと駆け足で、ちょっと描写がもの足りない部分もあった。けれど、どんどん壮大になっていく物語には引き込まれるものがある。ダイジェストっぽいぶん、展開が早くて飽きがこない。
続編の『ハルカ 炎天の邪馬台国』も用意してあるので、続けて読んでしまう予定。
家族型決戦兵器登場『バカとテストと召喚獣5』
- 作者: 井上堅二,葉賀ユイ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2008/11/29
- メディア: 文庫
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姫路さん&美波のアタックもいよいよ激しくなり、また雄二と明久の仲はだんだん既成事実化されつつある。そして、ふたりの怪しい関係に嫉妬する霧島さんの拷問も絶好調。ラブ方面では大きな進展はないものの今巻もむやみと楽しかった。ほんとに良い意味でいつもどおり。
姫路さんも、美波も、秀吉も、明久もみんなかわいい!
次はまた試召戦争がらみになりそう。……最後に出てきた召喚獣のバグって、やっぱり、その、良い意味で装備が外れてしまうとかシースルーとかそういう感じなんだろうか。とにかく楽しみ。
親しみやすい最強系主人公『鋼殻のレギオス』
- 作者: 雨木シュウスケ,深遊
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2006/03/01
- メディア: 文庫
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重い過去を持つ主人公に、銀髪白皙の美青年生徒会長&その妹。いろいろベタだけど、その王道っぷりが逆に新鮮だった。なんとなく『風の大陸』とか『魔術士オーフェン』とか、ちょっと古いラノベを思い出させる内容。すごく「富士見ファンタジアらしい作品」だと言ってもいいのかもしれない。
ランキング記事を書くのは恥ずかしいけど
本来、作品に順序や点数をつけるのはあさましくて恥ずかしい行為。客観的なランキングなんてありえないのだから、個人がかってに決めたランキングはもちろん、多数の識者・レビューワをそろえた「まとめ本」もみな等しく間違ってて恥ずかしいものだと思う。
でも、その恥ずかしさに耐えて「俺のナンバーワンはコレ!」「これが今年のオススメ!」と言い切るパワーは重要なんじゃないだろうか。だから、僕はランキング記事やオススメまとめ記事が大好き。そんなにすすめるなら「観てみようじゃないか」or「読んでみようじゃないか」と思ってしまう。
今年は僕も、恥ずかしさになんかはねのけて、もっと自分の好きな作品をアピールしていきたいものです。
2008年ラノベ極私的ベスト10&「2008年ラノベまとめ」のまとめ
ベスト10などという大仰な企画ができるほど読めてないんですが、個人的に「コレダ!」と思った作品群を挙げていくことに。えらそーに順位などつけてしまっておりますが、大晦日のヒマが悪いということでご了承ください。何かの参考になれば幸いです!
ノベルスやハヤカワ系、講談社ボックスなどはあえて外し、いわゆるラノベレーベルの文庫に絞っております。
※「『2008年ラノベまとめ』のまとめ」を更新(1月3日)
※id:y883p2さんが「08ベストまとめの集計(Fall Cherry)」というエントリを書いておられます。集計おつかれさまでした。ところで、y883p2と書いてレトスと読むということでよろしいのでしょうか?(1月6日)
10位 田中ロミオ『AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜』ガガガ文庫
- 作者: 田中ロミオ,mebae
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/07/19
- メディア: 文庫
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- 作者: 渡瀬草一郎,碧風羽
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/10/10
- メディア: 文庫
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8位 上遠野浩平『沈黙ピラミッド―ブギーポップ・クエスチョン』電撃文庫
- 作者: 上遠野浩平,緒方剛志
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2008/01/09
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7位 うえお久光『シフトIII』電撃文庫
[rakuten:hyoutan:10013297:detail]
ハードカバーで展開していたシリーズが電撃文庫入り&最新刊リリース! ちょっと殺伐としたMMORPGっぽい世界観に引き込まれた。
6位 川上稔『境界線上のホライゾンI 上・下』電撃文庫
GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン (1)上 (電撃文庫)
- 作者: 川上稔,さとやす
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2008/09/10
- メディア: 文庫
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5位 林亮介『迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル?』GA文庫
- 作者: 林亮介,津雪
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2008/11/15
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- 作者: 中村恵里加,たけひと
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/05/10
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- 作者: 田中ロミオ,山崎透
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/04/19
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2位 井上堅二『バカとテストと召喚獣3.5』電撃文庫
- 作者: 井上堅二,葉賀ユイ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2008/01/30
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- 作者: 竹宮ゆゆこ,ヤス
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/08/10
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■超不完全版「2008年ラノベまとめ」のまとめ
ついでといってはなんですが、他のブログ・サイト様のラノベまとめも挙げておきます。僕なんかより、はるかに冊数を読みこなしているラノバーばかりなので、チェックすれば2008年のラノベ界が見えてくるはず!
・2008年オススメのライトノベル@ラノベオフ版(平和の温故知新@はてな)
・2008年ライトノベル個人的ベスト10(ウィンドバード::Recreation)
・月ベストと年ベスト(好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!!)
・管理人おすすめの一冊目のライトノベル:2008年度版(いつも感想中)
・「Something Orange」2008年のベスト。(Something Orange)
・2008年に読んだ本まとめ その1(今日もだらだら、読書日記。)
・08年ライトノベルMyBest5(Fall Cherry)
・2008年を思い出す(ライトノベルとか備忘録:基本ネタバレにつき注意)
・2008年ライトノベルベスト 部門別ピックアッップ(まいじゃー推進委員会!)
・私家版2008年ライトノベル ベスト10(三軒茶屋 別館)
・2008年ライトノベルマイベスト10(私的ファイル deltazulu 記録再開)
では、よいお年&よいラノベを!
大手エロゲブランドのリリース間隔について
・人気メーカーのリリースが停滞
Keyはファンディスクのみで完全新作なし。Navelも『俺たちに翼はない〜Prelude〜』のみで、TYPE-MOONに至っては3年にわたってPCゲームのリリースが止まっている。Leafは、『君が呼ぶ、メギドの丘で』がギリギリ間に合う予定。強いコンテンツを持つ会社ほど、PCゲームの制作から遠ざかる傾向にあるように感じる。大作化によって制作期間が長くなっていることもあるのだろうが、少々心配になる流れ。
先日、「2008年10大エロゲニュース」というエントリのなかで上のように書いたところ、Half Moon Diaryさんからいいツッコミをいただいた。こちらの「4大エロゲメーカーの2008年の動きをまとめてみた」という記事ですね。アリスソフト、Leaf、Key、TYPE-MOON、以上4社の今年の動向を挙げた上で、「総合すると、これらのメーカーがPCゲームの制作から遠ざかっているようには感じられませんでした。」と書いてらっしゃいます。
自分の書いたことと照らし合わせながら読み、いろいろ考えさせられるところもあったので、ちょっと書いてみたい。
では、まず反省点。
■特定ブランドのイメージに影響されすぎた
「人気メーカーのリリースが停滞」と書いたとき、頭にあったのはKey、TYPE-MOON、Leaf、Navel、オーガストなどなのだけど、正直、KeyとTYPE-MOONの動きに判断を左右されすぎた。
Keyは『AIR』(2000年)と『CLANNAD』(2004年)のあいだにも4年のブランクがある。また、TYPE-MOONは創業以来、『Fate/stay night』の『Fate/hollow ataraxia』の2本しかリリースしていない。一般化して考えるには、特殊すぎる事例だろう。
■リメイク・ファンディスクの制作を軽視しすぎた
ヒットしたコンテンツを持つブランドは、リメイク・ファンディスクの開発に注力する傾向があり、そのぶん新規タイトルは少なくなる。しかしながら、これは「PCゲームの制作から遠ざかる」という話とは別問題。もともとエロゲブランドのリリース間隔は年1本程度であることが多く、リメイクなどの事情が絡めば数年間のあいだ新規タイトルが出ないことは普通にある。Navelなどは、全5作のうち3作がデヴュー作『SHUFFLE!』関連なのだけど、これを「停滞」と見るのは問題があるだろう。
イメージに引きずられて、実際以上に大きく見てしまった嫌いがある。
■数年のスパンで見ると……
しかしながら、大きな流れとしてみると、やはり新作リリースのペースは落ちているように見える。
Leafは、1995年の創業から2006年まで、年1作以上のリリースを続けていた。オーガストも2002年の創業から2005年の『夜明け前より瑠璃色な』までは毎年1作以上。Overflowは1999年創業の2006年(『Summer Days』)まで毎年リリース。
Navelは2004年創業で2006年までは毎年。アージュは1999年創業の2001年の『君が望む永遠』まで毎年。ただし、アージュはファンクラブ限定や別ブランドを数えると、実は2008年まで途切れることなく発表を続けているし、Navelも別ブランドのLimeを含めれば毎年1タイトル以上制作している。
アリスソフト、ニトロプラス、CIRCUS、戯画(パートナーブランドを除いてもかなりの量)など手数が多いブランドもあるので、上記数社の例を大きく受け取りすぎるのは危険。
……なのだけど、やはり2006年あたりを境目に、リリースタイトルを減らし1タイトルあたりの収益を増大させる戦略をとるブランドが増えてきているように思われる。その戦略のひとつが、Leaf(アクアプラス)、オーガスト(ARIA)がすすめる自社CS移植版だろう。Key Sounds Labelの音楽CDや、TYPE-MOONの書籍なども含めていいかもしれない。
とはいえ、各社それぞれに事情なり意図なりがあることを、「停滞」と言い切ってしまったのは大ざっぱすぎました。あと、なんというか、これを「2008年のニュース」と言っていいのかどうかは……やっぱ微妙ですね。とにかく、ツッコミありがとうございました!