コットンソフト『レコンキスタ』感想※ややネタバレ

2006年、多くのファンに惜しまれつつ解散したねこねこソフト。そのスタッフが立ち上げたコットンソフトの第2弾。

■ストーリー
舞台は埋め立てで作られた人工島、海上ニュータウン。政府の一大プロジェクトとして建設されたこの島は、工事中に事故が相次いだことから計画が停滞し、いまや寂れ果てていた。深夜に現れるという「首狩り女」の噂を巡り、物語は展開していく。

■感想
モデルとなったのは神戸ポートアイランドあたりでしょうか? のっぺりした埋め立て地に延々と倉庫街が続き、なんだか非常に不安になる土地。人工島と都市伝説という現代的な要素が、キリシタン村の古い因習といういかにも伝奇モノっぽい要素につながっていくのは新鮮でした。
しかし、正直に言って、あまり楽しめませんでした。
主人公が複数おり、しかも1〜3章すべてで主人公が交代すること。それに、悪役を中心として物語が進行するため、ともすれば主人公・ヒロインが傍観者になってしまうこと。これらによって、いまいち感情移入できなかったのが大きい。
また、要素を詰め込みすぎたせいか、個々のテーマが伝わりにくくなっているようにも感じました。
都市伝説、ゾンビ、キリシタン、輪廻転生、霊魂の存在、猟奇殺人…
とくに、主人公のひとり「槙野慶吾」の心の闇については、もう少し掘り下げて表現して欲しかった。暮葉ルートの終盤は、このゲームでももっとも興味深い部分のひとつだと思うのですが、このような重いテーマを扱うには短すぎでしょう。
犯人や「首狩り女」の正体などの大きな謎が、一周目であらかた見えてしまうのも残念なところ。二週目以降は、ホラー・サスペンス的な要素がほぼ死んでいました。
不満ばかりになっちゃいましたが、テキスト、システム、グラフィックなどは、手抜きなく仕上げられており、完成度そのものの高さは確かです。
また、いまどきシナリオ中心の本格的な伝奇モノを作ってくれる会社は貴重な存在。全力で面白いものをつくろうという姿勢は感じたので、次回作以降もチェックしておきたいところ。